安心して働くために必要な訪問時のリスク管理

訪問看護の仕事は、患者さんの生活の場でじっくりと関われる魅力があります。一方、看護師が一人で患者さんの自宅に伺う働き方に、不安を感じる人もいるかもしれません。病院とは環境が大きく異なるため、安心して質の高いケアを提供するには自分の身を守る知識と準備が不可欠です。

基本的なことは、訪問先やその道中で起こり得る危険を予測し備えるリスク管理の意識と言えます。たとえば、天候が悪い日には移動時間を多めに見積もったり、初めて訪問する自宅なら事前に地図で場所や周囲の環境を確認したりすることが大切です。また、患者さんの自宅環境にも注意しましょう。滑りやすい床や暗い廊下、整理されていない室内など転倒や怪我につながりそうな場所がないかを確認し、自分の安全確保を第一に考えます。緊急時は即座に事業所へ連絡できるよう、携帯電話を取り出しやすい場所にしまっておくことも重要です。

こうした物理的な危険だけでなく、患者さんや家族との関わりで生じる可能性のあるトラブルへの備えも欠かせません。看護師一人での対応が難しい状況も起こり得るため、困ったときや危険を感じたときに、どのように対応するかをあらかじめ事業所内で話し合っておきましょう。一人で抱え込まず相談できる体制があることは、精神的な支えになります。

また、個人の注意だけでは防げないこともあるでしょう。そこで重要なのが、事業所内での情報共有です。過去にヒヤリとしたことや、危ないと感じた経験をスタッフ全員で共有することで組織全体で危険回避力を高められます。あるスタッフが経験した「この道は夜間暗くて危ない」といった些細な情報が、ほかのスタッフの安全を守るのです。

このようにしっかりとした事前の準備と、組織としてのサポート体制があれば一人での訪問も過度に心配する必要はありません。自分の安全を守る意識を持つことが、結果として患者さんへの継続的で質の高いケアの提供につながっていくでしょう。